【ゼロの執行人】こんなにあるよ！刑事法分野の論点その①

各所で話題の劇場版名探偵コナン『ゼロの執行人』を観ました(・д・)ノ

残念ながら安室の女にはなれませんでしたが、法律を学んだことのある人間としては結構面白かったので、ゼロシコよく分からない！という方の参考になれば良いかな？と日本の刑法と刑事訴訟法で問題になりそうなシーンについて少しご紹介しようと思います。

※あくまで個人(しかもプロではない)の考えです。

※2回しか観てないのでうろ覚え＆ややネタバレあり注意

※ファンタジー作品なので日本の法律が適用されているとは限りません(ここから触れるのはあくまで日本の法律上の問題点です)

※学部生～ロー生向け？

以下、ネタバレOKな方だけどうぞ(≡人≡；)

風見さんが小五郎のおっちゃんに任意同行を求めたシーンですが、刑事訴訟法上は「任意捜査の限界を超えて違法ではないか」という論点が浮上します。

日本における犯罪捜査は、「任意捜査の原則」「警察比例の原則」「令状主義」というものが前提にあり、簡単にいえば『誰かの人権を制約するにはそれ相応の法的な根拠が必要』ということになっています。

そのため、逮捕手続きでは現行犯逮捕以外の場合には必ず逮捕状を請求して逮捕に至るというのが通常ですが、任意同行は相手の任意の協力があって初めて合法といえる手続きになるわけです。

次の論点とも関連しますが、風見さんは最初に任意同行と伝えており、公務執行妨害で逮捕するとも言っていますが、本来はNGな方法と思われます。また、同行の際に手錠を掛ける必要性があったのかも疑問です。

任意同行は名前のとおり任意処分に属する手続きですから、これを超えて強制処分となる場合(任意同行が実質的逮捕といえる場合)には、令状(この場合は逮捕状)が必要です。

※強制処分とは…

個人の意思に制圧を加え、身体住居財産等の重要な権利を制約し、強制的に捜査目的を実現するような特別な法の根拠がなければ許容されないもの、とされています。

さて、風見さんが脅しに使った「公務執行妨害罪」。刑法95条1項に定められており、要は公務員の職務執行を妨害すると逮捕しちゃうぞ☆ミみたいな罪です。

公務員の取り扱う事務のすべてがここでいう職務に含まれるんですが、公務員の行為が適法なものであることが要求されるとされています。

今回は犯罪捜査の一環でなされたものなので、概ね適法と考えることができるでしょうが、裁判例の中には警察官が逮捕状を被疑者に呈示しなかった行為は違法としたものがあります。

そして、逮捕時に犯人が暴れるのは当然といえば当然のことなので、捕まれた手を振り放して逃走する行為は公務執行妨害罪の暴行行為にあたらないとされています。あくまで積極的な暴行や脅迫が必要ということですね。

ただし、逮捕状を破いたり、証拠品を壊したりするといった間接暴行であっても、暴行に含まれることになります。ということはおっちゃんそういうことしちゃったんですかね～。

逮捕されると警察で身柄が拘束されますが、逮捕から48時間以内に検察庁へ送致(いわゆる送検)しないと実は違法になっちゃうんですよね。(刑事訴訟法203条1項)

んでんで、検察官も送検されてから24時間以内に勾留請求しなきゃいけないんですよ。(刑事訴訟法205条1項、203条)

この72時間がいわゆる逮捕の時間制限なわけですが、勾留請求って通すの結構難しいと聞きますよ？(被疑者を留置しておける場所にも限界がありますからね！)

勾留請求は裁判所に対して被疑者の身柄拘束の許可くださいっていうお願いなんですけど、それホントに身柄拘束必要なん？？？って厳しい審査が行われます。

たとえば被疑者が住所不定無職とかだと逃げられたら困るので勾留の必要性が高くなりますが、おっちゃんみたいに警察OBで名の知れた有名人がそんなことする？在宅で充分足りるんでねーの？？っていう話です。これ勾留請求通るのかなって。

なんか思いの外長くなってしまったので、続きはまた後日書きますm(_ _)m

ちなみに私の学部成績は低いですから、そこ間違ってるで～というご指摘は優しくお願いします／(^o^)＼

刑訴は一度だけ奇跡的にA取れましたけどその前の年に単位落としてますからね！！！同じ教授のテストなんだからA取れて当然だ！！！！！

気になるあれこれを徒然と